2010年11月3日水曜日

日本近現代史

 という全10冊のシリーズが岩波新書からでた。
 これまで「通史」というとなにか動かし難い権威のようなものを背負って、箱本、第一人者が、というイメージが付きまとっていた。また、近現代史の部分は教室の歴史年表や授業でも最後に「とりあえず」という感じでまとめられたのを見てきた感がある。
 台湾や韓国に行った若者たちが年寄りたちが日本語を話せると『無邪気』に感心をしたりして顰蹙をかってきた。この背景にはもちろん国の教育政策の問題が大きいが、きちんと学校教育でも近現代史は教えられてこなかったし、近現代史の通史本が少ないことがある。
 このシリーズは、幕末から「郵政民営化」といったつい昨日の日本のところまでを大胆で身近な視点で試論的に書きこんでいる いってみれば、これまでの通史と違って歴史年表の紀元前からはじまって飽きたころに現代にたどり着くのではなく、歴史年表を現代から逆に「なぜ今日がこうなっているか」という視点から現在から過去にそのルーツを探し、明日を探るものとなっている。
 歴史観でも社会主義の崩壊をうけて疑問符が増えたマルクス主義歴史観を乗り越えて挑戦していることからも意味がある。
 内容や評価についてはいろいろあるだろうが、読みやすいし読む価値がある。

  全10冊を読まなくてもシリーズの最後 ⑩「日本の近現代史をどう見るのか」を読むだけでもこのシリーズと150年間の全体像がみえてくる。
 

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