2011年10月18日火曜日

広く・『薄く』 放射能汚染をひろげるのが政府の方針

森林や木材などの放射能汚染に対する政府の方針は林野庁のHPにある。http://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/sinsai/mokuzai.html これをみて驚くのは、例えば木材製品の取り扱いに掛る留意事項Q&A 
Q緊急時避難準備区域で製造された木材製品を出荷してよいですか? 
A 特にスクリーングの必要はありません。なお、気になるようでしたら、木材製品の表面のホコリなどを念のため拭き取るなどしてください。
Q 計画的避難地域 A原木等の除染はどのようにすればよいですか? A原木等の表面のホコリなどをエアーガンなどで吹き飛ばしたりするなどした後に放射線量を測定し、100000cpm以下になるまで除染を繰り返してください。また、表面を削り取ることが可能である場合には、表面を削り取った後に放射線量を測定し、100000com以下になるまで除染を繰り返してください。
というものである。
では吹き飛ばしたり 削り取った放射性物質が含まれる部分はどうするかについてはまったく触れていない。当然その作業をした地面に堆積しやがては地下水に入っていくものもあろう。また、削り取った部分が燃やされれば再び空中に飛散して汚染を広げることになる。 ところがその処理方法は指示していないのである。
そうした作業をする作業者の安全確保についても何も触れていない。
作業者の「一年間の積算線量も20msv」を用いていて1msvではない。
Q「緊急時避難準備区域」の製材工場等で作業する場合に、留意すべき点はありますか?
A 樹皮やプレーナー屑の処理など埃が舞いやすい作業を行う場合には、マスク(防塵や花粉対策用が望ましい)を着用するとともに、長袖を着用するなどナルベク肌の露出を避ける・・・

これでは作業者の安全もまったく無視し、汚染を長期に拡散することをめざしているといわざるをえない。

また、福島県内で屋外放置のおが粉、きのこ原木、薪、木炭の譲渡や利用の自粛を県に要請しているが、よく見ると「調理加熱用の薪・木炭」となっている。これではピザ窯や焼き肉・鶏に使用するものに限定されてしまい、他のストーブなどの用途には使えることになり、燃やされた煙とともに飛散拡大されることになってしまう。
畜産の敷料に使われるバーク(樹皮)おが粉についても16都県に調査を求めているが、その処理方法は示していない。

現在セシュウムがその対象となっているが、人体などの骨に蓄積されるストロンチュウムもその物理特性はセシュウムと類似しておりセシュウムのあるところにはほぼ同量のストロンチュウムがあるとされている。セシュウムに比べてストロンチュウムは検査検出に手間がかかるためその測定そのものを国はサボタージュしている。

2011年10月13日木曜日

放射能に汚染された建材の可能性

  各地で放射性物質による汚染の『発見』が続いている。これまでセシュウムによる汚染は顕在化していたがストロンチュウムも顕在化しはじめた。セショウムとストロンチュウムはウランが核分裂する時にほぼ同量発生し半減期もほぼ30年その質量や変化もにているのでセシュウムがあれば同じ場所にストロンチュウムも同じにあるとおもってもいいと言われている。これまでストロンチュウムがみつかっていなかったのは、セシュウムは線量計で簡易に見つけることができるがストロンチュウムは他の物質と結びついたのを分析してとりだして測定する必要があるために手間がかかり、それを政府がさぼっていたからに他ならない。みんなに見つからなければ黙って汚染を放置しようという信じられない態度である。まさに政府は国民を見殺しにしている。


同じように政府が口をつぐんでいることに 木材の汚染 がある。林野庁は福島原発周辺の山林の除去のための調査を行った。それによると、山林は放射性物質を被って相当汚染されている。3月には芽ぶきの前だった。そのため常緑針葉樹は枝葉に放射性物質が付着している。落葉していた落葉樹は、枝、幹の樹皮に付着し落葉樹林の落ち葉に付着していたという。
除染の方針は、市街地の木々も同じように常緑針葉樹は木が枯れない程度に枝葉を伐採して集め、落葉樹林は表面落ち葉を集めるという。幹枝はそのままである。


すでに薪に変化が表れている


既に私の住む長野県でも不思議なことが現れている。それはホームセンターで売られている薪の樹皮がすべてはがされているのである。群馬県内の業者が販売しているその薪はナラと思われるがみごとに樹皮が取り除かれている。
これは何を示しているか。まず薪は「地産地消」ではなく、原木の段階で県を越えて集められ、広範囲に運ばれ流通していることである。
そして、群馬県の山沿いもホットスポットとよばれる 飛散した放射性物質が山に遮られて降下して汚染された地域が多いが、福島など別の県から原木が運び込まれて薪に加工されている可能性が高い。


わざわざ手間をかけて樹皮をはがした理由は、汚染が確認されて線量を下げるために放射性物質が付着している樹皮をはがした。あるいは消費者に「除去をした」ことをみせるためにはがしたかである。
つけくわえれば、通常薪は原木から玉切りし割って束にして積み上げて乾燥させている。この段階で放射性物質が降り注げは当然汚染されている。

建材は大丈夫か! 製紙は大丈夫なのか!
前段階が長くなったが、広葉樹、針葉樹そしてその枝や樹皮はチップやパーチクルボードや合板などの原材料として大量に使われている。また、チップに加工された木材は製紙原料として大量に使われている。
現在のところ木材の放射線量の基準はない。
建材も紙も生活の場で長期間使われる。汚染された木材が建材や製紙に使われないという保証はどこにもないのである。
住宅や建物の内部に大量に使われ人を守る建材、建築材料がもし汚染されているならば大変なことである。建物に組み込まれてしまってからでは「除染」の方法もないのである。

建設にたずさわる者の責任
 建設にたずさわる者の責任は、ただちに絶対に安全な基準をつくらせ、それが伐採、原木、加工、流通の全段階で表示、監視できるように取り組むことである。
もちろん、その建材を加工する建設労働者は身体に触れるだけでなく 埃や粉じんとして吸い込むのであるから 仲間の安全と健康を守るためにも 世論を喚起し、政府、東電に要求し完全に実施されるまで闘いを続けなければならない。

 

2011年10月7日金曜日

専門家を考える

気が付いてみると私たちは「専門家」に取り囲まれてくらしている。「取り囲まれて」ではなく「取り込まれて」なのかもしれない。
こんかいの福島原子力発電所の事故では、テレビなどに入れ替わり立ち替わり原子力の『専門家』が登場して説明や解説をした。しかし、「シーベル」「ベクレル」という聞きなれない単位が飛び交ったあげくに結局わたしたちが一番知りたかったこと「安全なの?」ということは得心できなかった。
なぜそうなのか、『専門家』と聞くとなんでも知っているすごい人と思ってしまうが、実はこの人たちは専門以外のことついては『素人』である。それだけでなくこの『専門家』と称する人たちは、専門領域からしか考えることができない、専門領域からしか世界を見ることができない、専門領域の世界だから通用する人たちなのである。

こうした『専門家』たちは自分たちだけの高みの世界を築いて、外の「素人」には立ち入れない柵を作る。その中は専門家にとって居心地のよい世界であり、今回あきらかになった「原子力ムラ」のように利権と結びついた世界になる。
専門家にとって外の素人は必要な協力(利用できる)だけをしてくれればいい存在であり、素人たちからあれこれの干渉や意見などをされることは鬱陶しいだけでなく「低級」な素人の干渉や介入は居心地のよい世界を害するものでしかない。
原子力はまさにその「専門家の世界」であった。
先のテレビの話に戻れば、聞きなれない言葉と難しそうな説明もけっきょくのところ、「素人は訳も判らず騒がず、専門家に任せておくのが一番いい、黙って言うことを聞きなさい」と云うことだった。

後から明らかになった「核燃料の融け漏れ落ち」も彼らはその時には知っていたが、言わなかった。
『専門家』は原子力ムラだけではない。「ただちには健康に影響がない」と言いづけた政府、政治家もまた、専門領域からだけしか考えることができない、与野党含めた「政治ムラ」「永田町」をつくる『専門家』である。官僚と呼ばれる「霞が関ムラ」の役人たちもまた『専門家』である。
それだけでなくマスコミもまた「マスコミムラ」を作って情報を操作して『世論』を『つくって』いる。

今回の原発事故で国民の信頼を喪失した 原子力、政治、マスコミという『専門家』だけでなく、私たちの身の回りにあふれ、私たちを取り込んでいる「専門家」について引き続いて考えていく必要がある。
なぜなら、会社で工場で学校で・・・あらゆる場所に専門家、専門部署というものがつくられそうしたシステムに組み込まれている私たちがいるからだ。