2011年2月10日木曜日

経済成長の限界

藻谷浩介の「デフレの正体」が話題になり、生産年齢人口の減少による経済成長の限界説がいろいろな分野にも浸透してきた。日本人はそろそろ「経済成長神話」から目覚めなければならないだろう。経済成長は、生産年齢人口の増大を背景に生産性の向上と失業増大の矛盾をそれ以上に経済を成長させることで頓服的に解決する策に過ぎない。つまりは一時的な方策でありその成功体験として語られケインズ学説ももともとそのことを認めているではないか。
 だが、「生産年齢人口」の波よりもっと大きな波があることが忘れられている。いうまでもなく自然の限界である。これは波ではなく断崖であり地の終わりであるのだが、そこに行くまでは実感ができないのだろう。
 農大の学歌にも「科学力で自然を服し、尽きせぬ富源を 四方にひらき 永久に現ぜん 祖国の栄えを・・」とあったが、自然を尽きせぬものと見、科学で自然を従わせるという思想が刷りこまれている。しかし、地震、台風どころか干ばつですら解決できている部分は少ない。結局は限られた範囲で人間がやりくりできているに過ぎず、それもどこかでそのしっぺ返しをうけて、あわてて別の手を打つが、所詮はまたそのための災いがおきるという繰り返しである。「自然を服す」というのは幻想にすぎない。
 それはともかく、限られた自然のなかで人間がどうやって生きていくのかと同じように、限られた生産と経済のなかでどうやって公正な富の分配をし、くらしていくのかをそろそろ真剣に考えなければならない時期にきているのだろう。

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